「火鍋」と聞くと、真っ赤で辛い「四川火鍋」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?筆者も最初は「火」という文字に「火を噴くような辛さ」を想像していました。しかし実は、“咕咚(グドン)”という、沸騰したスープに具材を入れるときの音から名付けられたという説もあるんです。
火鍋は中国全土で愛されており、地域ごとに使う具材やスープの味、調味料が全く異なります。筆者も中国で暮らすようになってから、その種類の多さに驚かされました。
この記事では、中国各地で人気の「10大火鍋」を紹介します。中国語の名称とあわせて、地方の文化がしっかり詰まった火鍋の魅力をたっぷりお届けします!
火鍋とは?中国式しゃぶしゃぶの魅力
火鍋(ホオグオ)は、中国、台湾、マレーシア、シンガポールといった中華圏で広く親しまれている鍋料理。日本でいう「しゃぶしゃぶ」に近い存在で、家族や友人と鍋を囲んで食事と会話を楽しむのが定番です。
火鍋は基本的に一人用ではなく、大きな鍋を囲んで大勢で食べるスタイル。そのため、中国では誰かと親しくなると「火鍋食べに行こう!」と誘われることがよくあります。全国チェーンの「海底捞(ハイディラオ)」なども人気で、常に賑わっています。
最近、日本でも火鍋ブームがあり、中国へ旅行へ行った際には、お土産に火鍋の素を買っていくと喜ばれますよ!
地域別・中国の代表的な火鍋10選
北京涮羊肉(ベイジン・シュワンヤンロウ) | 北京の羊鍋

中国語の読み:北京涮羊肉(Běijīng shuài yángròu )
地域:北京
特徴:あっさり透明スープ+ラム肉
北京涮羊肉(北京の羊鍋)は、羊をベースにした鍋です。 水とナツメや枸杞といった中華スパイスで沸騰させた澄んだスープに、羊や野菜をしゃぶしゃぶして食べます。羊肉本来の風味と味が楽しめ羊肉好きにはたまらない料理です。
羊肉は、よくレストランでは冷凍され薄くスライスされるため冷凍してますが、伝統的な食べ方は冷凍せず生の羊肉が使用されます。肉と野菜を同時に調理し、基本的に肉と野菜を一緒に食べます。肉は羊肉を使用し、材料は一般的にキャベツ、春雨、菊、レタス、豆腐、ほうれん草などです。
鍋は独特の形をしており、北京では一般的に銅鍋が使用されますが、代わりに電気鍋も使用できます。脂っこくなく、羊肉の癖が大丈夫であれば美味しく食べれると思います。
つけダレは、胡麻ペースト、ピーナッツバター、ニラのはな、オイスターソース、ネギ、「腐乳」と呼ばれる発酵豆腐、ニンニク、など各種自分で調合して調味料を作ります。
鍋は伝統的な“銅鍋”が使われ、見た目もレトロで映えます。北京っ子の冬の定番料理です!
「羊肉は体を温める」と中国では信じられており、北京の冬には欠かせない養生鍋なんです。
重庆火锅(チョンチン・フオグオ) | 重慶式“激辛”火鍋

中国語の読み:重庆火锅 Chóngqìng huǒguō
地域:重慶
特徴:とにかく辛い!痺れる!重慶スタイル
「中国鍋の大道」と言っても過言ではないくらい、 地方の首都や市町村から小さな町や村まで、全国で食べられているくらい一番人気で有名な火鍋です。麻辣火锅とも呼ばれ、特徴はとにかく辛い!辛い鍋料理が多い中華料理の名でも群を抜いて辛い火鍋。
重慶火鍋は1920年代に始まり、荷物を運ぶ行商人が茂都を購入し、ストーブの上に大きな鉄鍋を置き、鍋にスパイシーで塩辛いスープを入れ、労働者が荷物の周りで一緒に食べたのが始まりと言われています。中華民国になってから、それが一般の食卓で食されるようになりました。
四川と双璧をなす“辛い系”の代表格。重慶鍋は麻辣(マーラー)=辛くて痺れる系統で、スープには牛脂、花椒、唐辛子がたっぷり。具材もホルモン系(牛胃、アヒルの腸など)が多く、クセになる味。
香ばしい鍋は牛脂に唐辛子やトウガラシなど様々な調味料を加えて固めたもの(鍋のルー)を入れて味を作ります。 一般的に鍋に入れられる具材は、牛の胃袋、ルーバー、黄喉と呼ばれる豚や牛などの家畜の大動脈弓、牛肉、アヒルの腸、アヒルの血、牛の血、海菜、エノキなどです。
2007 年、中国料理協会は重慶に「中国の火鍋の首都」の称号を正式に授与しました。 中国の歴史上、都市が「火鍋の首都」にちなんで名付けられたのは初めてです。
小ネタ:重慶では「鍋を囲む=本音を語る場」と言われ、商談も火鍋を食べながら進むそう。
四川火鍋(スーチュワン・フオグオ)|四川の香り高い麻辣鍋

中国語の読み: Sìchuān huǒguō
地域:四川
特徴:香り重視の“麻”の効いた辛さ
四川鍋は、重慶鍋と同じ「辛い系」鍋の一種に入る鍋です。しかし二つの料理には大きな違いがあります。 四川鍋のスープベースを作るときは、通常菜種油または食用油が使用され、香りを高めるために多くのスパイスが使用されます。なので四川鍋は主に香ばしくてしびれた”麻”というピリッといた辛さが特徴的です。一方重慶鍋は辛く、牛脂を使って作るので辛味が強いです。四川鍋の方がより繊細で洗練され辛さがあり、辛さの感覚でいうと、重慶鍋ほど辛くないです。
体験談:筆者(辛いの苦手)でも食べられたので、意外と「見た目ほど辛くない」です。
貴州酸湯魚火鍋(グイジョウ・スワンタンユイ・フオグオ)|貴州の酸っぱい魚鍋


中国語の読み:贵州酸汤鱼火锅 Guìzhōu suān tāng yú huǒguō
地域:貴州
特徴:酸味の効いたスープ+生魚
中国内陸・貴州省で人気の「酸っぱ鍋」。トマトや発酵スープで煮込んだ酸っぱい出汁が特徴で、そこに新鮮な生きた魚をそのまま入れてしゃぶしゃぶ。酸味と魚の旨味が絶妙にマッチ!
新鮮な魚をきれいにした後、沸騰したすっぱいスープに魚を入れると、鍋に入ると魚が数回跳ねます。 スープの酸っぱい出汁が魚の口に吸い込まれ、魚の各所に浸透し、じっくりと火にかけ煮込むことで、湯気の立つ贵州酸汤鱼火锅が出来上がります。酸味のある出汁が魚に染み込み、魚はコシがあり歯ごたえがあります。
この鍋料理からわかるように、貴州人は酸っぱいものが大好きです。
🐟魚を鍋に入れると“ピチピチッ”と跳ねる臨場感が名物!
雲南菌菇火鍋(ユンナン・ジュング・フオグオ)|雲南のきのこ鍋


中国語の読み:云南菌菇火锅 Yúnnán jūn gū huǒguō
地域:雲南
特徴:きのこ香るヘルシー火鍋
雲南キノコ鍋は雲南省の名物できのこをベースにした鍋です。鶏肉をベースに雲南のきのこをふんだんに使った鍋です。 数種類のキノコを鍋に入れ、きのこの新鮮な香りを引き出し、新鮮な香りが立ち昇ります。口当たりはさっぱりとしていて、 きのこの甘みと旨味、スープの美味しさときのこの柔らかさがポイントです。
きのこ鍋は雲南省の名物で、数種類のきのこを集めて鍋に入れ、高温の作用できのこの新鮮な香りを引き出し、新鮮な香りが立ち昇り、味わいが魅力的です。 きのこの甘みと旨味、口当たりはさっぱりとしていて、スープの美味しさときのこの柔らかさがポイントです。
打邊爐火鍋(ダー・ビエン・ルー・フオグオ)|広東のあっさり海鮮鍋

中国語の読み:打边炉火锅 Dǎ biān lú huǒguō
地域:広東
特徴:刺身感覚の海鮮しゃぶ
“打邊爐”は広東語で「火鍋を囲む」意味。海老、いか、ホタテなどの海鮮をメインに、さっぱりとしたスープで楽しみます。タレで風味を加えるスタイルなので、自作タレが肝!
潮汕牛肉火鍋(チャオシャン・ニウロウ・フオグオ)


中国語の読み:打边炉火锅 Cháoshàn niúròu huǒguō
地域:広東 潮汕
特徴:牛肉にこだわる通好みの鍋
鍋の世界では、広東省にある潮汕の名物牛肉鍋は非常に特別と言えます。
広東省の深圳に住んでいる筆者は、この鍋のお店を本当に街でよく見かけます。すべての牛肉をその場で屠殺し、「新鮮」という言葉を極めます。 牛肉は部位によって食感が異なり、すすぎにかかる時間も異なり、食感や味わいも大きく異なります。
潮山牛鍋の底は牛骨スープと大根の煮物で、牛肉本来の味を味わうのに役立ちます。 潮山珍味は本来の味が一番大事で、食べたいなら牛肉本来の味を食べなければなりません。
鍋の中でしっかりと弾力のある牛団子の煮込み、すずき牛のすすぎ、吊るし竜の仲間、脂の乗った牛肉、スプーン粒と栗、味は香ばしくてやわらかく、舌の先でご馳走になること間違いなしです。

東北火鍋(ドンベイ・フオグオ)|東北の満州式鍋

中国語の読み:打边炉火锅 Cháoshàn niúròu huǒguō
地域:広東 潮汕
特徴:ザワークラウト入り!酸味系郷土鍋
東北火鍋は「満州火鍋」とも呼ばれ、長い歴史をもった東北地方の郷土料理であり、満州族の伝統的な風習でもあります。 銅製の鍋を炭火にかけ、沸騰させ鳥の出汁をだし、スープに細切りのザワークラウトと春雨を混ぜ合わせ、豚肉、羊肉、鶏肉、魚などを煮て食べます。鹿肉を使用することもあります。 スープにも様々な東北地方特産のキノコが使用されます。
東北鍋の特徴は大端鍋と呼ばれる鍋。この鍋のふちにゴマだれなどのおかずをのせることができ、ザワークラウトや薄切り肉が鍋の中で煮込まれ、家族や友達といった大勢で鍋を囲んで食べられます。
椰子鶏(イエズジー)|深圳名物!ココナッツチキン鍋

中国語の読み:椰子鸡 Yē zǐ jī
地域:広東 潮汕
特徴:ココナッツミルクで煮る甘旨鍋
「深センで食べたい絶品グルメ10選」で紹介しているように、「椰子鸡」は深圳で食べて欲しいグルメの一つ。
海南が発祥と言われていますが、諸説あり。だそうです…..。生のココナッツジュースと鶏で出汁を取り、そこに野菜や海鮮を加えて食べます。スープに塩味がないため、タレ(甘醤油+生姜+ライムなど)で味変を楽しみます。

菊花暖鍋(ジューファ・ヌアン・グオ)|菊の花入り、上品鍋

中国語の読み:菊花暖锅 Júhuā nuǎn guō
地域:江蘇省と浙江省
特徴:美しい見た目+ほんのり花の香り
菊鍋とも呼ばれる菊鍋は、清の時代に始まったとされ、江蘇省と浙江省でよく食べられる火鍋です。スープは菊と鶏または豚カルビの出しで作られ、主な具材は、鲤です。
鍋の上に浮かぶ菊の花は見た目にも美しく、華やかで写真映えする鍋料理です。食べるとほんのり菊の香りが漂い、味は軽やかでさわやかなので辛いのが苦手な人にもおすすめです。
まとめ:火鍋には中国の文化が詰まってる!華人と仲良くなったら火鍋!
火鍋は、ただの鍋料理ではなく、地域ごとの文化や人の距離感まで映し出す“食のコミュニケーションツール”です。
辛いのが苦手な筆者でも楽しめたのは、「雲南のキノコ鍋」や「椰子鶏」。特に女性にはこの2つが人気なのでは?と感じています。
中国人の友達と仲良くなったら「今度、火鍋行こう!」は定番のセリフ。ぜひ、中国に来たらその地域ならではの火鍋を楽しんでみてください!
ここで紹介した火鍋以外にも、各地域に特徴的な鍋料理がたくさんあります。筆者は犬好きなので記事には入れませんでしたが、犬肉鍋とかも実は上中国では人気なようです…..気になったら調べてみてください!