近年、日本でも注目を集めている台湾の朝ごはん。台北や台中で人気の「鹹豆漿(シェンドウジャン)」や「蛋餅(ダンピン)」といった台湾朝食を楽しめるお店が東京にも増え、話題になっています。
筆者も台湾で1年間の語学留学中、毎朝違う朝食店を巡ってお気に入りのお店を探していた経験があります。その中で感じたのは、朝食のバリエーションが豊富で、外で食べることがとても一般的であるということ。
では、なぜここまで台湾で朝食文化が浸透しているのでしょうか?
実際に台湾人に聞いた話や自分の体験をもとに、歴史的・社会的・生活習慣的な背景からその理由を5つにまとめてみました。
1. 屋台文化の発展とテイクアウトの定着

台湾といえば夜市に代表される屋台文化が有名ですが、実は朝から営業する屋台や朝食店も非常に多いのです。
外食が日常的であり、手軽に安くおいしい食事を取れる環境が整っていることが、朝から外食する文化を支えています。朝食もテイクアウトが主流で、出勤・通学前にサッと立ち寄るのが当たり前になっています。
2. 共働き世帯の増加と都市型ライフスタイル
台湾では共働きが一般的であり、忙しい朝に家で朝食を準備するより、外で買って済ませる方が効率的と考えられています。
特に都市部の住宅では、キッチンが狭く調理に適さない場合も多いため、自然と外食文化が定着。朝専用の飲食店が多数存在する背景には、こうしたライフスタイルの変化があります。
3. 多様な朝食メニューと「選ぶ楽しさ」

台湾の朝食は、中華系・台湾ローカル・西洋風メニューがミックスされた多彩なラインナップが魅力です。日替わりで楽しめるほど種類が多く、外食するモチベーションにもつながっています。
以下は代表的な朝食メニューの一例です:
タイプ | 主なメニュー例 |
---|---|
中華系 | 鹹豆漿、油條、饅頭、豆乳 |
台湾ローカル | 飯糰、蛋餅、胡椒餅 |
西洋スタイル | サンドイッチ、ハムエッグトースト、ミルクティー 割包 |
また、台湾では「早午餐(ブランチ)」文化も浸透しており、午前中のゆったりした時間をカフェのような朝食店で過ごすことも一般的です。
4. 教育機関・職場の朝ルーティンに組み込まれている

台湾では学校や会社が朝早くからスタートするため、朝食店は通学路・通勤路に立ち並び、早朝から営業しています。
朝7時台でも活気にあふれており、昼過ぎには閉店する「朝・昼専門店」も少なくありません。価格も手頃なので、毎日外食しても負担になりづらい点も特徴です。
筆者も留学中は、学校近くの朝食店で「蛋餅」と「豆漿(豆乳)」をセットで食べるのが日課でした。
5. 歴史的背景による料理の融合
第二次世界大戦後に中国本土から移住してきた外省人たちが持ち込んだ北方・南方の食文化が台湾現地の料理と融合し、独自の朝食スタイルを築いていきました。
- 北方料理:鹹豆漿、油條(揚げパン)
- 南方料理:米飯系の飯糰(台湾おにぎり)
- 台湾式洋食:割包(台湾風ハンバーガー)、ミルクティーなど
これらが台湾の街角に自然と広まり、今や国民的な朝の定番となっています。
結論|台湾の朝食文化は「生活の一部」

日本では「家で朝食をとる」が主流ですが、台湾では外で朝食を食べること自体が文化として根付いています。屋台や専門店の豊富さ、共働き家庭のニーズ、多彩なメニュー、そして歴史的背景が絡み合い、台湾ならではの朝食スタイルが生まれました。
もし台湾を訪れる機会があれば、ぜひ早起きして現地の朝ごはんを味わってみてください。それはきっと、台湾の暮らしをより深く感じられる体験になるはずです。