最近中国のコスメ業界で話題の化粧品小売販売チェーンの「HARMAY (话梅)」の上海の新天地にある店舗へ行って来ました。実はこちらの店舗ができたばかりの頃に行ったのですが、外で行列をなしていて、入場制限をしていたため再度チャレンジして訪れて見ました。

今回は、この今話題の新しい中国化粧品小売チェーン「HARMAY (话梅)」について、実際に訪れて見てのレポートを交えながら、人気の秘密と特徴を分析したいと思います。

中国化粧品小売ブランドHARMAY (话梅)について

HARMAY (话梅)は、「北京话梅乐享科技有限公司」という会社が運営しており、2008年に淘宝でのオンライン販売からスタートしました。現在ではオンラインでの販路を拡大し、Wechatミニプログラム、天猫旗艦店、JD.com旗艦店、全球购海外店(淘宝global)、小红书、といったチャネルでもオンライン販売を行なっています。

オフライン店舗はスタイリッシュな店舗デザインが有名で、中国の若い女性に人気なSNS小紅書(Red)で今話題になっているお店の一つです。現在は、北京、上海(2店舗)、成都、香港の合計5店舗があり、今回は上海の新天地にある店舗を訪れて見ました。

外観は目を引くモダンなデザインで、ラグジュアリーさがありますが、店内はインダストリアルでミニマリスティックでスタイリッシュなデザインになっています。

店舗は全面ガラス張りになっていて窓が大きく開く構造になっており、中のお客さんの賑わいが、外からリアルに感じられるようになっています。そのため店舗の前を通ると必ずその賑わいに注目せずにはいられません。

1階には路面に面したコーヒースタンドが併設されており、コーヒーのテイクアウトも利用できます。

Harmay コーヒースタンド

建物は二階建てになっており、一階から入ると出口は二階になっているので、一階から出る事は出来ず、自然と店舗全体を巡回させられるような設計になっています。

二階に上がるとすぐにHARMAY LABスペースがあり、そこで様々な商品を試すことができます。

Harmay labの様子
Harmay labの様子
試供品

化粧品小売ブランド「HARMAY (话梅)」人気の秘密

「HARMAY (话梅)」人気の秘密:サンプル商品を手頃に試せる「少量サイズの高級化粧品」販売ビジネスモデル

化粧品のサンプルといえば、まだ認知の低いブランドが新規ユーザーを獲得するために良く用いられるマーケティングの手法の一つで、サンプルを無料でプレゼント、またはほぼ無料同然の値段で販売し、まだブランドを使用した事ない新規ユーザーの初回購入壁を下げて、新規ユーザーの獲得を行います。

このプロモーション手法は中国国内では化粧品限らず様々なブランドで用いられています。

ただ、ここのHARMAY (话梅)でのサンプルの販売は、新規ユーザー獲得のプロモーションとしてではなく、一つのビジネスモデルとして成り立っています。そして、それが高級ブランドのサンプルである事が注目のポイントです。

Harmay のサンプル販売

つまり、本来なら無料でもらえるまたはある一定額以上購入するともらえる高級化粧品のサンプルを有料にて通常販売するというビジネスモデルです。これが中国本土で大人気になっており、最近ではこのビジネスモデルを利用した小売店舗がどんどん増えてきています。

この高級ブランドのサンプルというのは、中国に限らず実は日本でも需要があります。

例を出すと、日本のフリーマーケットプラットフォームのメルカリで化粧品のサンプルが良く売れる現象です。

私の友人も、メルカリで化粧品のサンプルを販売しており、サンプルを入手するために、足繁く百貨店に通ってサンプル収集をしていました。彼女から教えてもらったのは、購入するほとんどの人が地方に住む人で、都内になかなか行く機会がなく、そう行ったサンプルが手に入らないが高級化粧品を試してみたい。という人が多いようです。

このように、高級ブランドのサンプルというのは、単品を買うのにはハードルがが高すぎると感じるミドル層のユーザー、学生の間ですごく需要があります。そしてこのミドル層が昨今中国で大きく成長してきた社会的背景があり、今中国の化粧品業界の消費を大きく占める層なのです。

またこのサンプルのサイズというのは旅行の時に使える大きさにちょうど良いため、旅行用としても人気です。使い切るのが早いため、手頃な値段で高級ブランドを色々試せるという利点もあります。

上記のように、需要が高いため、サンプル品としてではなく「少量サイズの高級化粧品」として販売して十分成り立つビジネスモデルなのです。

Harmayのレジ回りで売られているサンプルの 「ELIXIR」

このHARMAY (话梅)は、まさにこの高級商品のサンプルに関してのSKU数と量が他の競合店舗に比べて半端なく多いため、人気の秘密の一つとなっています。

仕入れルートに関してまで調査してませんが、サンプルなので無料またはかなり安く仕入れることができると想像できますので、このビジネスモデルは正直かなり美味しいですよね。

「HARMAY (话梅)」人気の秘密:計算された実店舗空間

HARMAY (话梅)実店舗の陳列

HARMAY (话梅)と同様なビジネスモデルで人気な、競合店舗「The Colorist」や「wow color」はポップでビビッドなカラフルな色を用いた、若い女性向けの店内デザインになっていますが、HARMAY (话梅)の店舗内は、什器などは、タイルや物流倉庫にあるようなスチールラックを用いて、無機質なインダストリアルでミニマリスティックなデザインを採用してます。

これは後述するSNSを利用したプロモーションにすごく有効なデザインになっており、HARMAY (话梅)のこの店舗デザイン力の高さは、インテイリア雑誌や商業デザイン関連の雑誌などにもよく取り上げられています。

そのため男性でも空間に違和感なく溶け込める空間になっており、男性客も他の競合店舗、The Coloristやwow colorに比べて多めで、カップルだけでなく、男性一人できているお客さんもいました。

HARMAY (话梅) 店内 男性商品が売られているラック

「HARMAY (话梅)」人気の秘密:ユニークな商品陳列

競合店舗「The Colorist」や「wow color」が中国国内ブランドの販売に注力しているのに対して、HARMAY (话梅)の商品は海外のブランドが多めです。

日本、韓国、アメリカ、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、イスラエル、フランス、その他ヨーロッパといった国の有名なブランドだけでなく、Harmayに来るまで名前を聞いたことも見たこともない、マイナーな珍しいブランドを取り扱っています。

またそれらの商品は、ブランド別に綺麗に陳列されているわけではなく、カテゴリー種類別に陳列されており、マイナーなブランドの商品の中に高級コスメブランドが入り混じって陳列されていたりするわけです。

なので、このような雑多な陳列なので、高級ブランドの商品に注目させられながら、隣に名前も聞いたことのない商品がふと隣にあったりして、名前の知らないブランでもなんとなく手に取って見たりしてみてしまうのです。

通常の高級ブランドショップで計算されたように綺麗に陳列されている高級ブランド品も、良い具合に雑多に置かれており、値段がとりわけ安いわけではないのですが、見ているとお手頃な価格だと思い込まさせる錯覚に陥ってしまいます。


このように、自然と色々な商品がいろんな人の目に晒されるように計算された陳列、なんとなくお手頃価格なんだと思い込まされる錯覚になるような陳列担っているのです。 

また、同様にして高級コスメブランドと同じ棚に、食品が陳列されていたりと従来の陳列の常識にとらわれない斬新な発想が、見るひとの目を引きつけます。 

卵かけ醤油が化粧品と一緒に売られている斬新な陳列 @HARMAY (话梅) 
Maximなどの食品が化粧品Curelと同じ棚に陳列 @HARMAY (话梅) 
@HARMAY (话梅) 

「HARMAY (话梅)」人気の秘密:新しい商品を自分で新たに発見できる楽しさを体験できる

HARMAY (话梅) 陳列の様子

HARMAY (话梅)でのショッピング体験の一番の特徴は、倉庫のような空間の中で、お気に入りのブランドを自ら開拓しているようなを探究心やインスピレーションを得られる事です。

パッケージなどがお洒落で洗練されているブランドが多く、聞いた事がなければ、このブランドなんだろうと自然と興味を惹かされます。

従来高級コスメブランドを購入する場合、店内に入るとすぐに美容部員からまず声をかけられて、どんな商品を探しているのか、自分の肌に合う化などのカウンセリングをさせられ購入に至るのがほとんどです。

私を含めミレニアル世代はこのプロセスがとにかく煩わしいと感じているのです。それはドラッグストアや化粧品小売店のワトソンや、セフォラ(Sephora)でも同様にして行われており、ブランドから派遣されてくる販売員の勧誘に店舗へ行く度にうんざりさせられているのです。

これらの小売店舗が最近では売り上げが落ちており、こういったHARMAY (话梅)のような新しいスタイルの店舗に客を取られている理由の一つにもなっていると考えられます。

またミレニアル世代の特徴として、商品の情報はある程度ネットで既に下調をして店舗に足を運ぶ事が多いく、これらの世代は美容部員からのアドバイスより、ネットのKOLやKOCの情報の方を信頼している事が多いのです。

知りたい情報は自分でネットで探して手に入れるミレニアル世代は、この煩わしさを気にせず、高級ブランド含めたの様々な商品を、色々比較しながら、自分のペースで見たいのです。そう行った空間を提供してくれるHARMAY (话梅)でのショッピング体験は、なかなか他のお店では今まで体験できる事ではなく、まさに新しい体験なのです。

雑多に陳列されている倉庫のような空間で、新しい商品やブランドを自分で発掘する楽しさを体験できるのです。

そしてこれは、オンラインでは提供できない価値であり、オンラインとオフラインが補完しあう形で機能しているのです。

「HARMAY (话梅)」人気の秘密:SNSでの口コミ人気

HARMAY (话梅)の人気の秘密は、SNSを上手く利用してプロモーションができている事です。

中国で人気のSNS小紅書(Red)での投稿数は7100以上あり、競合店舗の「The colorist 」が2100+、「Wowo Color」が500+とその他の競合店舗の投稿数から見ても、圧倒的に多いです。

先ほど説明した店舗のデザインも、まさにこのSNSでの投稿されやすさを意識しており、映えるポイントを上手に押さえているのです。そして投稿内容を見ていると男性の投稿も他の競合と比べても多く、インダストリアルなデザインは男性でもSNSで投稿したくなるデザインなのです。

投稿から小紅書でのEC店舗へのリンクを貼る事で、そこから店舗への購入への導線も可能になっています。

化粧品小売ブランドHARMAY人気の秘密まとめ

  • HARMAY (话梅)は、ミレニアル世代の探究心とインスピレーションを提供する空間として従来の化粧品小売店舗とは異なる空間と価値を提供している。
  • 高級ブランドのサンプル+海外のマイナーなブランドを販売
  • オンラインでは提供できない価値をオフラインで提供
  • SNSでの投稿されやすさを意識した店舗デザイン

高級コスメブランドのサンプルを販売するというビジネスモデルは、中国に限らずミドル層が成長している市場において特に高い需要が期待できるビジネスモデルだと思います。これからは中国以外の東南アジアの国でも同様な店舗ができてくると考えられます。(特に筆者が住んでいたベトナムでは中間層が急成長しているので確実に人気になると想定されます)

日本のブランド「BARTH」
日本のブランド日焼け止め発見
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Harmay店内 食品なども売られている