肉夹馍(ロージャーモー)は、香ばしく焼いた小麦粉のパン「饃(モー)」に、柔らかく煮込んだ肉を挟む中国・陝西省の名物です。西安でよく見られる豚肉と白吉饃の組み合わせは臘汁肉夹馍(ラーズーロージャーモー)と呼ばれ、海外では見た目の分かりやすさから「中国式ハンバーガー」と紹介されることもあります。
ただし、ハンバーグを挟む料理ではありません。煮込んだ肉を包丁で細かく刻み、煮汁とともに焼きたての饃へ詰めるのが基本です。この記事では、名前の意味や味、本場の種類、日本で食べられる店、家庭向けの作り方を紹介します。
肉夹馍(ロージャーモー)とは?
| 現地名 | 肉夹馍(繁体字:肉夾饃) |
|---|---|
| 中国語の発音 | ròu jiā mó(ロウ・ジア・モーに近い音) |
| 主な地域 | 中国・陝西省(西安、潼関など) |
| 主な材料 | 小麦粉の饃、豚肉、醤油、香辛料 |
| 味 | 香ばしく、塩気と肉の旨味が濃厚 |
| 辛さ | 基本的には辛くない |
日本では「ロージャーモー」「ロウジャーモー」「ロオジャーモー」など複数のカタカナ表記が使われています。簡体字の肉夹馍と繁体字の肉夾饃も同じ料理を指します。
肉夹馍という名前の意味
「肉」は肉、「夹」は挟む、「馍」は小麦粉で作るパンを意味します。文字どおりに読めば「肉を挟んだ饃」です。
中国語の語順だけを見ると「肉夹馍」は「肉が饃を挟む」のようにも見えますが、一般には「肉夹于馍(肉が饃に挟まれている)」を縮めた呼び方と説明されます。名前の由来には複数の説があるため、ひとつの説を絶対的な語源として捉えないほうがよいでしょう。
肉夹馍の味と食感
西安式の肉夹馍は、焼いた小麦の香りと、ほろほろに煮込まれた豚肉の旨味を一緒に楽しむ料理です。白吉饃は表面が香ばしく、中は適度に弾力があります。そこへ細かく刻んだ赤身と脂身、少量の煮汁を挟むため、シンプルながら満足感があります。
- パン:表面は香ばしく、中はもっちり
- 肉:箸でほぐれるほど柔らかく、醤油と香辛料の風味がある
- 辛さ:伝統的な臘汁肉夹馍は基本的に辛くない
- 食べ方:手で持ち、肉汁をこぼさないように袋や紙で包んで食べる
八角などの香りは店によって異なります。「必ず五香粉を使う」と決まっているわけではなく、煮汁に使う香辛料や肉の脂身の割合によって味が変わります。
西安式と潼関式の違い
肉夹馍は西安だけの一種類ではありません。陝西省内でも、地域によって饃の作り方や具材が異なります。
| 種類 | 饃の特徴 | 主な具材・味 |
|---|---|---|
| 西安の臘汁肉夹馍 | 白吉饃。表面は香ばしく、中は弾力がある | 香辛料と煮汁で柔らかく煮た豚肉 |
| 潼関肉夹馍 | 油を使って層を作る薄い生地。パリパリと崩れる食感 | 煮込んだ豚肉を挟むことが多い |
| 回民街などの肉夹馍 | 店や地域により異なる | イスラム教徒向けの店では牛肉・羊肉を使用 |
「肉夹馍=豚肉」と思われがちですが、牛肉や羊肉を挟むタイプもあります。特に西安の回民街周辺では、豚肉を使わない肉夹馍が見つかります。注文時は「猪肉(豚肉)」「牛肉」「羊肉」の表示を確認しましょう。
同じ陝西省の小麦料理を知りたい人は、ビャンビャン麺の特徴と食べ方もあわせてどうぞ。
肉夹馍の歴史と発祥
肉夹馍は陝西省を代表する伝統的な小吃(軽食)です。現在の西安式では、白吉饃に臘汁肉を挟む「臘汁肉夹馍」が広く知られています。
臘汁肉の歴史を古代までさかのぼらせる説明や、「世界最古のハンバーガー」とする紹介もあります。ただし、現在の肉夹馍がいつ、誰によって生まれたかを示す確かな記録は限られています。そのため、本記事では特定の年代や発明者を断定せず、陝西の肉料理と饃文化のなかで発展した郷土料理として紹介します。
肉夹馍は日本でも食べられる?
日本でも、西安料理や陝西料理を扱う中国料理店で食べられます。ただし、一般的な中華料理店の定番ではなく、メニュー変更や売り切れもあるため、訪問前に最新情報を確認するのがおすすめです。
東京・池袋「凡記 西安肉夾モー 池袋本店」
東京で探すなら、西安料理店の凡記 西安肉夾モー 池袋本店が候補です。店名にも肉夾饃を掲げ、池袋駅北口・西口から徒歩圏内にあります。2026年7月時点で直近の営業・来店記録を確認できました。
- 住所:東京都豊島区池袋1-2-7 メゾン田中ビル1F
- 最寄り:池袋駅北口・西口から徒歩約6分
- 確認のポイント:営業時間、定休日、当日の提供状況は訪問前に店舗情報を確認
池袋では肉夹馍のほか、ビャンビャン麺、涼皮、羊肉料理などの西安グルメも探せます。周辺の店をまとめて見たい人は、池袋のガチ中華フードコート案内も参考にしてください。
※店舗情報は2026年7月確認。飲食店の営業状況やメニューは変更されることがあります。
家庭で作る肉夹馍の簡単レシピ
本場の白吉饃を一から作るには手間がかかりますが、市販のピタパンや平焼きパンを使えば家庭でも雰囲気を楽しめます。
材料(2〜3個分)
- 豚バラ肉または豚肩ロース:300g
- 醤油:大さじ2
- 砂糖:大さじ1
- 酒:大さじ2
- 水:肉が浸る程度
- 生姜:1片
- 八角:1個(好みで)
- ピタパンまたは平焼きパン:2〜3個
作り方
- 豚肉を大きめに切り、鍋に入れます。
- 醤油、砂糖、酒、生姜、八角、水を加え、弱火で肉が柔らかくなるまで煮込みます。
- 肉を取り出して包丁で細かく刻み、煮汁を少量混ぜます。
- 温めたパンに切り込みを入れ、刻んだ肉をたっぷり挟みます。
パクチーや青唐辛子を加えるアレンジもありますが、西安の臘汁肉夹馍は肉だけを挟むシンプルなタイプが基本です。脂を控えたい場合は豚肩ロースを使うと作りやすくなります。
よくある質問
肉夹馍は「中国のハンバーガー」?
見た目を説明する便宜上、「中国式ハンバーガー」と呼ばれます。ただし、ひき肉のパティではなく、煮込んで刻んだ肉を小麦粉の饃に挟む料理です。
肉夹馍は辛い?
西安式の臘汁肉夹馍は、基本的に辛くありません。八角などの香辛料は使われますが、唐辛子の辛さとは別です。店によっては青唐辛子を加えるタイプもあります。
肉夹馍の肉は必ず豚肉?
いいえ。代表的な臘汁肉夹馍は豚肉ですが、牛肉や羊肉を使うものもあります。宗教や地域、店によって具材が異なります。
白吉饃と潼関の饃は何が違う?
白吉饃は表面の香ばしさと中の弾力が特徴です。一方、潼関肉夹馍の饃は油を使って細かな層を作り、パリパリと崩れる食感に仕上げます。
台湾の刈包とは同じ料理?
別の料理です。台湾の刈包は蒸した柔らかな生地を使うのに対し、肉夹馍は焼いた饃を使います。肉の味付けやトッピングも異なります。
まとめ
肉夹馍は、焼いた饃と柔らかな煮込み肉を組み合わせた陝西省の郷土料理です。西安式の白吉饃、層がパリパリした潼関式、牛肉・羊肉を使うタイプなど、地域や店によって違いがあります。
日本ではまだ珍しい料理ですが、西安料理店が集まる池袋などで出会えます。香ばしい小麦の生地と濃厚な肉の組み合わせが好きな人は、ぜひ一度試してみてください。


