𰻞𰻞麺(ビャンビャン麺)は、中国・陝西省の関中地方で親しまれている、幅広の手延べ麺です。小麦粉の生地を手で引っ張り、台に打ちつけながら帯のように長く伸ばすため、もちもちとした弾力と力強い食べごたえがあります。
この記事では、ビャンビャン麺の味や特徴、複雑な「𰻞」の字、油潑麺との違い、家庭での作り方を紹介します。
𰻞𰻞麺(ビャンビャン麺)とは?
𰻞𰻞麺は、陝西省の省都・西安を含む関中地方の小麦文化を代表する麺料理のひとつです。中国語では𰻞𰻞麵/𰻝𰻝面、ピンインではbiángbiáng miànと表記します。日本語では「ビャンビャン麺」または「ビャンビャンメン」と呼ばれます。
特徴は、薄く均一に切った麺ではなく、休ませた生地を手で引き伸ばして作ること。幅広で厚みにむらがあるため、やわらかな部分と歯ごたえの強い部分を一度に楽しめます。現地では唐辛子やニンニクの上から熱した油をかける油潑スタイルのほか、肉や野菜の臊子(具入りのたれ)を合わせる食べ方もあります。
「𰻞(biáng)」は何画?読み方と入力方法

料理名で使われる「𰻞」は、非常に複雑な字形で知られる漢字です。読みはbiáng(ビャン)。現在は文字コードのUnicodeに収録されており、繁体字形の「𰻞」はU+30EDE・58画、簡体字形の「𰻝」はU+30EDDです。
ただし、一般的な日本語入力で「びゃん」と打っても変換候補に出ないことがあります。その場合は、このページの「𰻞」または「𰻝」をコピーするのが確実です。端末やフォントが新しいUnicodeに対応していないと、四角い記号などで表示される場合があります。検索するときは「biangbiang麺」「ビャンビャン麺」でも問題ありません。
字の成立時期や由来には諸説があり、歴史の古い正規字として確立していたとは言い切れません。「生地を台に打ちつける音を表した」という説や、麺の製造・販売と結びついて広まった字だとする説がありますが、語源を断定できる史料は乏しいのが実情です。
ビャンビャン麺の特徴
- 帯のような幅広麺:店や作り方によって幅は異なり、数cmほどになることもあります。
- 手で引っ張って作る:小麦粉の生地を十分に休ませ、伸ばす・振る・打ちつける動作で長い麺にします。
- もちもちとした食感:厚みや幅の違いによって、弾力と滑らかさを同時に味わえます。
- 味付けは一種類ではない:油潑辣子、肉の臊子、トマトや青菜など、店や地域によって具とたれが変わります。
どんな味?辛さと食感
日本でよく見かける油潑タイプは、茹でた幅広麺に刻みニンニク、ねぎ、唐辛子などをのせ、熱した油をジュッとかけて香りを立たせます。醤油の塩味、黒酢の酸味、唐辛子の辛味が幅広麺に絡み、香ばしくパンチのある味です。
花椒を使うレシピもありますが、ビャンビャン麺に必須の材料ではありません。四川料理のような強い痺れを想像するより、小麦の風味、唐辛子、酢、ニンニク、熱い油の香りを楽しむ陝西らしい麺と考えると分かりやすいでしょう。辛くない臊子麺タイプもあるため、ビャンビャン麺そのものが必ず激辛というわけではありません。
油潑麺・扯麺・刀削麺との違い
似た名前の麺がありますが、それぞれ指しているものが少し異なります。
| 名称 | 主に表すもの | 特徴 |
|---|---|---|
| 𰻞𰻞麺 | 陝西の幅広い手延べ麺 | 帯のように幅広く、長く伸ばす |
| 扯麺(チェーミエン) | 手で引っ張って作る麺・製法 | 幅や太さには複数のスタイルがある |
| 油潑麺(ヨウポーミエン) | 熱い油を香辛料へかける調理法 | 幅広麺以外を使う場合もある |
| 刀削麺 | 生地を刀で削る製法 | 中央が厚く、縁が薄い短めの麺 |
ビャンビャン麺を油潑で仕上げた料理は「油潑扯麺」などと呼ばれ、店によって名称が重なることがあります。ただし、ビャンビャン麺は麺のスタイル、油潑は味付け・調理法なので、厳密には同じ意味ではありません。
中国各地の麺の違いを知りたい方は、中国のご当地麺料理ガイドもあわせてご覧ください。
発祥は中国・陝西省の関中地方
ビャンビャン麺は、陝西省中部の関中地方で親しまれてきた麺です。この地域は小麦を使う食文化が豊かで、西安では幅広の麺料理をはじめ、涼皮や羊肉泡饃など多彩な郷土料理に出会えます。
一方、「秦の時代から食べられていた」「シルクロード時代に誕生した」といった説明には、料理名や現在の形まで直接裏づける確かな史料が見つかりにくいため注意が必要です。古い小麦文化を背景に持つ料理ではありますが、具体的な誕生年代は断定しないほうが適切です。
同じ陝西省の名物を組み合わせるなら、肉を饃に挟んだ肉夹馍(ロージャーモー)もおすすめです。
家庭で作るビャンビャン麺のレシピ
家庭でも、小麦粉の生地をしっかり休ませれば手で伸ばせます。以下は2人分の作りやすい分量です。
材料(2人分)
- 中力粉:250g(なければ強力粉と薄力粉を半量ずつ)
- 水:125ml前後
- 塩:2g
- 生地に塗る油:小さじ2程度
- 醤油:大さじ2
- 黒酢または米酢:大さじ1〜2
- 刻みニンニク:1片分
- 粉唐辛子:小さじ1〜2
- 長ねぎ:適量
- 仕上げ用の油:大さじ2
作り方
- 水に塩を溶かし、中力粉へ少しずつ加えてまとめます。表面がなめらかになるまでこね、ラップをして30分休ませます。
- 生地をもう一度軽くこねて4〜6等分し、棒状にします。表面に油を塗り、乾燥しないように覆って1時間ほど休ませます。
- 生地を平たく押し、中央へ箸などで縦の筋をつけます。両端を持ってゆっくり引っ張り、台へ軽く打ちつけながら帯状に伸ばします。中央の筋から裂くと、長い輪状の麺になります。
- たっぷりの湯で麺を1〜3分ほど茹でます。厚みによって時間が変わるため、芯がなくなったところで引き上げます。好みで青菜も一緒に茹でます。
- 器に醤油と酢を入れ、茹でた麺を盛ります。ニンニク、ねぎ、粉唐辛子をのせます。
- 小鍋で煙が出る直前まで熱した油を香味材料へかけ、全体をよく混ぜます。油はねとやけどに注意してください。
生地が縮んで伸びにくいときは、無理に引っ張らず、さらに15〜30分休ませます。手打ちが難しい場合は、きしめんや幅広の乾麺を使えば、油潑風の味付けを手軽に楽しめます。
よくある質問
-
Q𰻞は「世界一画数が多い漢字」ですか?
-
A
「世界一」と紹介されることがありますが、異体字や創作字を含めるかによって比較結果が変わるため、断定はできません。Unicodeに収録された繁体字形「𰻞」は58画で、非常に画数の多い字であることは確かです。
-
Qビャンビャン麺は必ず辛いですか?
-
A
必ずしも激辛ではありません。油潑タイプは唐辛子を使うことが多いものの、量は調整できます。肉や野菜の臊子をかけた辛くないタイプもあります。
-
Qビャンビャン麺と油潑麺は同じですか?
-
A
重なる料理は多いものの、厳密には同じ意味ではありません。ビャンビャン麺は幅広の手延べ麺を指し、油潑麺は唐辛子や香味野菜へ熱い油をかける調理法を表します。
-
Q日本で代用できる麺はありますか?
-
A
きしめんや幅広のうどん、ひもかわうどんで代用できます。本来の手延べ麺とは食感が異なりますが、醤油、酢、ニンニク、唐辛子、熱した油を合わせれば、油潑風の味付けを楽しめます。



